コロナ
生命の星に生まれて 人とその希望を乗せて
空に打ち放たれたのは 何十年も前のこと
自分の名前も知らずに 期待を背負る代わりに
情報という名の餌を 人間様へ与えてきた

孤独である事を寂しいと思ったことはない
他人の体温なんて知らないのさ

でも心は泣いていて 目の前の闇に空想の君を描いた
指先だけでも触れたくて 今はただ闇の中を一人飛ぶ


空想の世界の中に 君の存在を求めて
現実のこの世界では 君の存在を否定した
自分を失って続く 下らない日々の中で
信じて疑った君の その存在を捉えた

太陽が姿を見せるより先に触れなくちゃ
僕に気付いて君も手を伸ばした

ねぇ
夢を見ているなら もう二度と醒めなくたって僕は構わない
やっと届いた手を伝って 僕の思いは君の心へと飛ぶ


気が付いた時には 夢は姿を消した
いつだってそうだった
大切な物は何でも
無くしてから大切にしていた事
気付いたよ


夢が闇に消えたのは君と僕の手が触れた瞬間
全て現実になって役を終えた

「君に触れるべきじゃなかったんだ 笑ってさようなら」
涙を浮かべながら手を離した

僕が夢を見ていたって 心は空想の君を描き続けていた
僅かに届かない場所から この声が枯れるまで君の名を呼ぼう
素敵な夢を見ていたけど 今もただ闇の中を一人飛ぶ